オーバーヒート

先週オーバーヒートで308gt4がキャリアで運ばれてきました。
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最初は電動ファンの故障か、サーモスタットの不良かと思いましが、
原因はエンジンからラジエターにつながるウォーターパイプを押さえるバンドの亀裂によるものでした。
見た目では交換されているように見えてわかりずらいところでした。
目視ではどこからもれていたかがわからないため圧をかけてテストしてみた結果、ポタポタクランプでとめているホースから漏れるのが発覚してここから漏れているのがわかりました。ブラスのネジで閉まるはずのバンドがネジ部分がバカになっており、ある程度までは閉まるのですが閉まりきれずに漏れたもの。
圧力がかかった時にすこしずつ漏れていたので、ガレージの床にはたれていなかったのでしょう。
オーナーの方も気が付かなかったのだと思います。
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ついでに劣化したリザーブタンクのキャップも交換しました。
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このキャップの適正圧は0.9バール。
市販されているものには1.2バールのものもありますので注意してください。
すこしずつ漏れて水の量が減り、ヒートしたのだと思います。冷えている時にたまにエンジンルームのタンクを開けて水が減っていないか確認することをお勧めします。適切な水の量はキャップから5㎝ほどの位置です。

  # by cavallino-cars | 2024-12-09 10:17 | Comments(0)

すり減ったカムシャフト

燃焼室のバルブはカムシャフトのこの山の部分がバルブを下に押し込みガソリンを燃焼室に送り込みます。
今回オーバーホールしたエンジンはカムシャフトの山が本来ある高さから、かなり削りとられ隙間があき、シムをたたき、エンジンをかけるとアイドリング中にタンタンとたたくような音がしていました。
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こちらが本来のカムシャフトの山の高さ。
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そしてこちらがバルブを押し込むシム。中央が削れすり鉢状になっています。
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本来ここにはオイルが入りシムの面はフラットになっているのが正常です。
原因はオイルポンプのギヤの摩耗により、本来オイルフィルターにまでオイルを上げる圧力が低下したことにより、カムとシムの間に十分なオイルがいかなかったためにカムの山とシムのセンター部分がすり減ってしまったものと思われます。
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上の写真の右がオイルポンプ。左がフタです。中には2つのギアが入っていて、それがかみ合うことによりオイルが上に排出される仕組みです。
ポンプというと回転するフィンのようなものでオイルを送り出すイメージがありますが、エンジンの場合はこのギアによってオイルが循環されます。ギヤの隙間が大きくなるとそれだけ圧がさがります。今回は右下のシルバーのギヤが摩耗していたので新しいものに交換しました。その他、摩耗していたインレットカムシャフト(ガソリンが噴出する側)、バルブ、バルブガイド、バルブガイド、バルブガイド、クランクシャフトのメタル、コンロッドのメタルに各オイルシールを交換しました。
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もちろんバルブのすり合わせやピストンの清掃、面研なども実施。
マニホールドにも穴があいていたのでステンレスの新しいものに交換。マフラーも新品に交換しました。
エンジンはくらべものにならないほど軽くまわるようになり、その音も静かになりました。
新しく組みなおしたエンジンの印象をオーナーにお聞きしたところ、あまりにもスムーズであっという間にストレスなく回転があがるとのこと。190キロの慣らしを終え、あと10キロ走行後に4000回転までまわしてみるとのこと。
今週末にあと100キロ走行して5000rpmまで回してみたいとのことでした。
今回の固体は1977年モデル。マラネロをでてから47年が経過しています。
固体差はありますがタペットの音が大きくなり始めたら金額はかかりますが、エンジンオーバーホールをお勧めします。

  # by cavallino-cars | 2024-12-07 15:14 | Comments(0)

engineオーバーホール

昨年6月中旬、エンジンからのタペットの音がひどかった208gt4のエンジンを降ろし、オーバーホールを実施しました。
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カムシャフトもかなり減っていたので交換、シム調整をすませ、やっと先週エンジンがかかりました。気になっていたカタカタいうタペット音はしなくなり、スムーズそのもの。マニホールドやマフラーも腐蝕で穴が開いていたため新品に交換したせいもあり、あの208独特の乾いたエキゾーストノートがコックピットに満たされます。
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慣らし運転は必要で、最初の100キロは3000回転まで、100キロごとに500回転ずつ上げていきます。
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もともとあっという間にレッドゾーンまで一気に回るエンジンなのでちょっと気をぬいていると3000回転を超えてしまいます。
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タコメーターから目が離せません。
フルスケールで回せるようになるには900キロほどの慣らし運転をすませてからになります。
それにしてもここまで印象が変わるとクルマの印象も全く異なります。
工場から浅草の会社まで30キロほど走行した後、デスビからオイルの滲みを確認したため、明日どこから漏れているのか確認します。ガスケットなのか、中のオイルシールリングなのか、いずれにしても修理してから来週にはお客様の元に納車予定です。

  # by cavallino-cars | 2024-11-19 16:55 | Comments(0)

母の葬儀

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先月10月27日母が亡くなりました。99才の大往生でした。父が他界したのは26年前。
これで私を支えたくれた両親が二人とも旅立ってしまいました
今から37年前、保険会社を辞め、この仕事を始めた時からずっと私を応援してくれた母でした。
当時は今の会社のそばにタワーパーキングを2台借り、父の事務所の一部屋を間借りして始めました。
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最初は308gt4と308GTSQVの2台のみ。広告は当時の父の那須の別荘の庭で撮影しました。上は初めての広告です。
特選外車情報という雑誌の1ページに広告を載せ、月曜から日曜まで毎日10時から6時までお客さんからの電話を待っていました。最初のお客様は九州の方でした。シルバーの308gt4を買っていただいたことは昨日のように覚えています。ショールームはなく、駐車場から車を運び、見ていただいて今のお店の2階の事務所で契約をしました。経理は母にしてもらっていました。
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徐々に会社も大きくなり、父に家賃を払い、1階を貸してもらうようになり、ショールームとして使用するようになりました。その後、神谷町にショールームを移転しましたが、
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2010年6月に浅草に戻りました。
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その頃はまだ母も元気でした。何度か転んで骨折もしましたが、そのたびにリハビリで歩けるようになりました。母は2015年90才でまで手伝ってくれていました。あとは余生を楽しむというときに93才で舌癌を発症。手術は成功しましたが、98才で再発、高齢のせいもあり、麻酔で亡くなる可能性が高いため、医師に相談してもなすすべがありませんでした。
昨年の夏に追い打ちをかけるように施設内で転倒してからは歩くこともできなくなり、ほぼ寝たきりになりました。
最後はやせ細り、足や手にクリームを塗ると直接骨に塗っているようでした。ガンが進行し、舌がゴルフボールほど大きくなり、口からたべることが難しくなり、2か月前からは足に点滴をし栄養をとるようになりました。
1回目のがんの手術前に「口から食べることが出来なくなったら、そのまま送ってね、空からずっと見守っているからね」と手術室に入っていった母を思い出します。延命措置はしてくれるなという母の希望でしたが点滴の管を抜けば1週間で亡くなるという医師の説明を聞いて、抜くことはできませんでした。
最後は話すことも、口から食べることも出来なくなってしまった母でしたが、私が行くと手をふってくれたり、寝ていても声をかけると目を開けてくれました。亡くなる一月ほど前に手を握るとぎゅっと握り返したことがありました。ジッと私をみていたのを思い出します。何か伝えたかったのだと思いますが、今では知るすべもありません。その時の母の手の感覚を思い出すと今でも胸がしめつけられます。葬儀には母を知っているお客さまや当時の従業員、そして取引先の方も来ていただき、供花もいただきました。お一人お一人に心から御礼申し上げます。
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今は葬儀を終え、納骨までの49日は自宅にいます。
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30年のお付き合いのお客さんであり、友人でもある住職さんから、遺骨が自宅に帰ってきたら、火葬にされ熱かったのでたくさん水を飲みたがるのでコップでなくどんぶりであげて下さいと言われ、なるほどとおもいそうしています。

最後は痩せて骨と皮だけになってしまった母だったので
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今まで食べれなかった生前大好きだったものを毎日たくさんお供えして、少しでも太らせて父の元へ送ろうと思います。
ずっと私を支え続けてくれた母に心から感謝したいと思います。

  # by cavallino-cars | 2024-11-08 09:52 | Comments(6)

Brescia からの Dino208gt4の塗装がほぼ終了

昨年12月20日にイタリアから輸入したDino208gt4 の塗装の作業がほぼ終了。
先週ブースに入れ、色がはいりました。新にメッキしなおしたバンパーやライトなどを取付けます。
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光り輝くクロームメッキを見ているだけで気分があがります。なんて美しい!!
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上の写真の右に3つほど塗装にごみがはいっているがわかりますか?
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まずはこのようなゴミを1500番の少し粗めのサンドペーパーで丁寧に削り落としていきます。
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もう一度同じ作業をしてゴミがとれるまで行います。
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ペーパーの種類は1500番が一番粗く、2000番、3000番とより細かいサンドペーパーで仕上げていくのす。
黒の塗装の場合はより細かい5000番までのペーパーで仕上げていきます。
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これが一番細かいサンドペーパーで仕上がった状態です。今はやりの艶のないマッドな感じですね。
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さらにここからバフであら磨きをし、次に粒子の細かいコンパウンドで磨き、さらに細かいコンパウンドを使って3回ほど磨くことによってこのような溶けるような美しい赤となっていくのです。
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サイドステップ下の黒い部分やトランク、フロントフードの凹みの黒の塗装はあえて磨きが終わってからにします。
最初に塗ってしまうとゴミをとるためのペーパーのとぎ汁でせっかくの漆黒の塗装に水垢がついたり、白く変色してしまうからです。
黒の塗装は最終段階で行います。
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これはフロントウインドウの写真。塗装する前には必ずウインドウの隙間のシリコンシールを必ずすべて剥がします。そのままにして塗装をするとシーリングを剥がす時に塗装も剥がれてしまうのと、塗装が内側まで入っていかないからです。
こんな細かなところまでの作業をおこなっていることはお客様はほとんど知らないでしょう。
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1年近くかかりましたが、こうして当時のフェラーリの職人がやってきたように丁寧に仕上げていくのです。
あと1ケ月ほどでマラネロを出てきた49年前のような1台となってショールームに帰ってきます。
今からその美しく蘇った姿がみえるようです。



  # by cavallino-cars | 2024-10-17 16:55 | Comments(0)

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