308 のパワーウィンドウ

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76年のマラネロに近いルッカから譲り受けたファイバーグラスの308の12ヶ月点検が終わり、納車準備をしていたら突然運転席のパワーウインドウが動かなくなった。原因はモーターの寿命。
レギュレーター(モーター)を発注して中をばらすとワイヤーもささくれていた。
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この時代の仕組みは実に複雑でモーターについているワイヤーを図のようにワッシャーにとおし、下側のドアヒンジよりのワッシャーとリヤフェンダーよりのワッシャーの上の部分にウインドウが下がった状態でワイヤーをナットで窓の下に固定する。ワイヤーがモーターで引かれると窓があがり、逆回転すると窓がさがるという、何とも古典的な手法がとられる。
これでも当時としては画期的なものだったのだろう。技術者の工夫がみられておもしろい。
さて今回はモーター交換だけという簡単な問題ではすまなかった。
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ドアヒンジよりの滑車は写真のように内側にかなり曲がってついている。しかもドア内側のファイバーが変形し、窓と滑車との間が本来よりも8mmほど離れてしまっているのだ。これがワイヤーを引くモーターに負荷がかかった大きな原因だろう。
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こちらは助手席側。写真ではわかりずらいが、滑車の窓との位置は運転席側に比べ、8ミリほど近く、ほとんどウインドウにつきそうな場所につく。位置も運転席に比べると下につく。
おそらく最初から運転席側の滑車の位置は上よりについていたのだろう。
ボルトの穴を下に広げ、滑車の位置を助手席側と同じくらいに下げ、ワッシャーを加工し、ウインドウ側にちかずけ、さらに水平にすればモーターへの負荷も減るにちがいない。
このような作業が加わるので大変な作業となるのです。
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今の車のようにモーターを交換するだけなら2時間もあれば終わってしまうが、モーターにはワイヤーがもともとついており、それを滑車にはめてからさらにドアにワイヤーを固定し、何度もテストをしながら、水平に窓が上がり下がりするテストを行わなければならない。
しかも何度も繰り返しテストを行うとモーターが焼けてしまうおそれもあるので続けての作業も難しい。当時のメカニックは本当に苦労していたのがわかります。
ちなみに328になってからは下の図のように改善されている。
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K様予定外の作業に時間がかかりますがもう少しお待ち下さい。
秋のベストシーズンには間に合わせます。

  by cavallino-cars | 2014-09-11 12:40 | Comments(0)

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